小野田ゼミでは、心理学全般(主に社会心理学)のことに関して研究します。
社会心理学とは、個人と社会状況との間の相互的な影響関係、もしくは、人々の心に対する社会の影響を解明する心理学領域です。
人の心は社会の影響なくしては存在しえません。また、それと同時に、社会も人なくしては存在しえないでしょう。
人間関係の問題といったみなさんの身近にある社会現象から、環境問題などの大規模で深刻な社会現象まで、多くの社会現象は人の心や行動が作り出しているものです。そして、知らず知らずにうちにその影響をみなさんも受けています。
本ゼミでは、そうした社会現象と人の心や行動の相互的な影響関係を明らかにしています。
これまでのゼミでの研究トピックの例
・集団の協力問題に対する解決策(どのように人々を協力させたらよいのか)
・流行の発生過程と原因の解明
・感情と利他行動の関係に関して
・オピニオンリーダー(インフルエンサー)の影響力に関して
・対人関係が与えるストレスに関して
・ペット(コンパニオンアニマル)が飼い主に与える影響に関して
・対人魅力に関して(魅力的な人とはどういう人か)
・色彩心理学に関して
・災害復興に関して
・いじめの規範に関する解明
・ゲームが与える心理への好影響に関して
・漫画の背景が感情に与える影響に関して
本ゼミでは以下の2つのアプローチを使って、社会現象や人の心や行動を解明します。
・ マイクロ-マクロ・アプローチ:社会現象が人の心や行動を作り、人の心や行動が社会現象を作るという相互的な影響過程から社会現象や人の心・行動を考察するアプローチ法
⇒社会現象と人の心や行動が常に相互に影響し合っていることを前提とします。
・ 適応論:人々に様々な心理・行動のメカニズムが備わっているのは、それらの心理を持つことや行動をとることが適応的であったからだとする考え方。適応とは、ある特定の環境のもとで、自分にとって利益を生み出すことを指します。
⇒人々は適応的な行動を取ることが様々な研究により指摘されています。
例えば、現代の社会では、財閥型の企業などが多くあり、同じグループの企業を優遇する行動が散見されます。
こうした同じ集団に所属する人をひいきする行動は内集団ひいき行動と呼ばれています。
僕の研究から、人々が内集団ひいき行動をとっている社会では、内集団ひいき行動が適応的となることが分かっています。
そのため、人々が内集団ひいき行動をとっている社会では、人々は周りの人に合わせる形で、内集団ひいき行動をとるようになるのです。
そして、その状況で、人々が内集団ひいき行動をとることが、さらに、内集団ひいき行動が横行する社会を強化させるのです。
そうしたマイクロ-マクロな影響過程と適応論という考え方によって、人々の心理・行動傾向や社会現象を解明することが僕のゼミの特徴です。