ここでは、僕のブログを公開します。
さほど更新頻度は高くないと思います。
年に数回程度でしょうか。
研究のことや授業のことなど日々の思いをここに書き記したいと思います。
なお、年代別にみたい場合には、右のブログログをクリックしてください。
2024年
3月
29日
金
今月に創刊された大東文化大学の社会学研究所の紀要に僕の論文を載せました。
大東で学部生に手伝ってもらった研究なんですが、なんとその学生が漫画家さんだったんです。
そこで、漫画界では漫画の背景効果が感情を引き起こすとされているので、その学生に漫画の背景効果を(なんと)実際に書いてもらって、その感情効果を調べたんです。
実際の漫画家さんに調査資料を作ってもらったという点でなかなかの独自性ですよね。
具体的には、実際に漫画を制作するときの資料である背景効果の作画資料では、基本六感情のうち五感情のそれぞれを引き起こす背景効果があると説いており、怒りの感情を喚起する物、喜びの感情を喚起する物、悲しみの感情を喚起する物、恐れの感情を喚起する物、驚きの感情を喚起する物が紹介されています。
この研究では、基本六感情に関する質問項目、一般感情に関する質問項目などを使用し、これらの背景効果が引き起こす感情を特定しました。
大まかな結果を述べると、背景効果は平均的には意図された感情を引き起こすことができるが、個別の背景効果の結果を見ると必ずしも意図された感情を引き起こすわけではないことが分かりました。
という感じの今までに取り組んだことのない研究で非常にキャッチーなので、ぜひ気分転換に読んでみてください。
なお、本ホームページからダウンロードすると容量制限の関係で英文なしの論文になります。
英文ありの全文はリサーチマップからダウンロードしてください。
2023年
12月
16日
土
こないだの10月に一昨年・昨年に引き続き、実験を行いました。
今年もまたうちの社会学部の先生方に多大な協力をいただきました。
名前はあげませんが、参加者のリクルートを手伝ってくださったK先生、実験室確保のために教室移動までしてくださったT先生などには本当にお世話になりました。
また、事務の方や研究推進室の方などにも本当に多大なご協力をいただきました。
本当にありがとうございました。
みなさまのご協力があって、私の実験ができております!
毎年毎年すいません。頭があがりません。
本年度の実験の結果は、すでに先日行われたHBES-Jで発表しました。
また、昨年度の実験結果は、社会心理学会や去年のHBES-Jなどで報告させていただきました。
「面白かった」といった声が非常に多く、好評でうれしかったです。
そして!
本年度の実験をもって、今取り掛かっているプロジェクトはとりあえずの区切りを迎えることができたんじゃないかなと思います。
構想7年、実働4年といったところでしょうか。
『社会的ジレンマを解決に導く罰行動が引き起こす集団間の報復行動の連鎖』というプロジェクトです。
実験結果も良好ですし、近いうちにまとめて、ある程度いい国際誌に投稿する予定です。
という感じなので、もし「このプロジェクトに関して発表してくれ」というようなご要望などがありましたら私(onoda@ic.daito.ac.jp)にご連絡ください。
喜んで発表させていただきます!
なにぶんこのプロジェクトは私一人のプロジェクトですので、みなさまのご意見をいただきたいんです!
本プロジェクトは色々と感慨深く、いろいろと思うところもあります。
国際誌に無事掲載できて、本当に一区切りついたあたりで、改めてこのブログにその思いを書きたいと思います。
2023年
10月
12日
木
先日の10月5日にうちの学部の研究所である「大東文化大学社会学研究所」の第3回ランチタイム・ミーティングで僕の研究における最も大きな目的(野望と銘打っています笑)と直近の研究プロジェクトに関して発表しました。
タイトルは『実験的手法で明らかにしたいこと~研究的野望と直近の研究プロジェクトについて~』です。
40分の比較的短い時間だったのですが、予想以上に多くの先生方が見に来てくれて非常に嬉しかったです。
また、内容に関してもこれまた予想以上に好評で、多くの先生から面白かったというお声をいただけて本当に光栄でした。
「すごく面白かった」「もっと詳しく聞きたい!」「1時間ぐらい時間が欲しかった!」と多くの先生に言ってもらえて本当に嬉しかったです。
また、次の研究ネタのヒントになるようなお話もいただき、他分野の先生方の前で発表することの意義を改めて感じた瞬間もありました。
また機会があれば、お話させてもらえるといいなと思っています。
最近、この職に就いたことの喜びを感じることが多いです。本当に幸せなことです。
2023年
4月
10日
月
先月に創刊された大東文化大学の社会学研究所の紀要に僕の論文を載せました。
去年の社会心理学会で発表したネタで、間接互恵性関連の論文なので、興味がある人もいるかもしれません。
感情に駆られた利他主義者であることは、非合理的な利他的主義者であるシグナルとなり、間接互恵状況において有用に働くことを示した論文です。
また、先行研究の結果と比較すると、このシグナルには、間接互恵性の成立にとって重要な情報的価値があることが分かりました。
感情の適応的な側面を社会的交換といった側面からトライした論文です。
これまで、この感情に駆られた利他主義者の研究は何度か着手したのですが、今回、間接互恵性に焦点を絞ったら、いい感じの結果が出ましたね。
大東で学部生に手伝ってもらった研究で形になった最初の論文になります。
もう少し経てば、本HPとリサーチマップ上で論文を公開できると思います。
あと、現在、共同執筆で、ある本の一部を書いています。
そちらも出版されたら、本HPで情報を公開します。
2022年
11月
03日
木
去年と今年に大東文化大学で実験室実験を行いました。
(写真は、大東文化大学で実際に行われた実験の様子です)
参加者の方は本当にありがとうございました。
大学文化大学は約100年の歴史があるのですが、本格的な心理学実験が行われたのは去年の僕の実験が始めてだったそうです。
なので、今年で2回目ということになります。
特に去年は、最初の実験かつコロナ禍だったこともあり、実験を行うだけで本当に大変でした。
実験室の整備・準備、実験器具や道具の整備・準備、ネットワークなどのシステム構築、参加者と実験者の準備・スケジューリング、倫理委員会への申請とその準備、参加者報酬・実験者報酬の扱い・準備・運用、会計関係などなど本当に0から準備を行いました。
手伝ってくれた実験者役の学生や研究推進室の事務員様たちなどに多大な迷惑とご苦労をおかけしました。
あと、所属学部の教員のみなさまにも様々なご協力をいただきました。
本当に本当にありがとうございました。
という感じなので、正直いうと去年に関しては、実験を行うこと自体が第1目的だったといっても過言じゃなかったです。
実験が実施できたというだけでも非常に嬉しく達成感でいっぱいでした。
今年に関しては、去年の反省もあり、より妥当な実験を行うことができました。
去年と同様、今年の実験実施に際しても、学生や事務員様、教員のみなさまに多大な迷惑とご苦労をおかけしました。
重ね重ねお礼を申し上げます。
結果に関しては様々な学会や論文で報告する予定です。
まずは手始めに、12月に行われる日本人間行動進化学会第15回大会(HBES-J 2022)で発表予定です。
久しぶりに、北海道にGO(の予定)です。
2022年
5月
20日
金
お久しぶりです!あまりに更新しないので、ブログをなくそうか迷っています。
本当は書きたいネタがたくさんあるんですけどね・・・。
いくつか研究業績を足しました。
あと、オンラインじゃなくなったということもあり、今年度の社会心理学会で発表予定です。
本務校の用事がかぶっているので、発表できるかわかりませんが。たぶん発表します!たぶん!!
2020年
4月
02日
木
科研費に通りました。
大東文化大学に来てから最初の申請で通って一安心です。
これで、大東文化大学での研究をようやくスタートすることができます。
実は最初から最後まで自分が考えた研究案で科研費が通ったのは初めてなんです。
DC1のときは指導教員におんぶにだっこだったので。
なので、今回の科研費が通ったことは、自分の能力を認めてもらったようで、すごくうれしいです。
ようやく研究者としての第一歩を踏み出した感じがします。
通って安心しているのと同時に、責任を感じております。
科研費は大事に、そして、慎重に使わせていただきます。
あと、結果をちゃんと出さなきゃね。
2019年
12月
30日
月
ブログを更新しなければ、と思いつつ、年末に更新になってしまいました。
結果的に今年の総括になってしまいましたね。
2018年は大学の業務が忙しくて、授業運営などの教育と学部運営の業務しかできなかったんですが、
2019年は少しずつではあるものの、研究活動もできたので満足でした。
研究に関わる様々な申請書を書いたり、論文を書いたり、板橋区と共同研究を行ったり、研究会議に参加してアイディアを出したりとそれなりに充実していました。
今後も少しずつ研究の時間を増やせたらいいですね。
また、来年からは本格的に僕の卒論ゼミも始まるので、がんばろうと思います。
教育面でも研究面でも、卒論ゼミは楽しみです。
なんといっても大学教育の中心はゼミ活動です。
ゼミで教わることは一生を左右するとも言われます。
責任重大ですね。
うちの学部は1年~4年までの4年間のすべてでゼミがあります。
中でも、その集大成である3,4年生の卒論ゼミは、共に研究をして、卒論を書かせるゼミです。
卒論ゼミでどんな研究をするのかは、色々な意味で腕の見せ所ですね。
大変だとは思いますが、まずは、学生ファーストをモットーに、がんばっていこうと思ってます。
今回は、この辺で。
研究などでまた報告があったら、詳細はブログに書きます。
それでは、良いお年を。
2018年
12月
09日
日
なんととうとうYoutuberとしてデビューしました!
というのも、うちの大学でWeb体験授業という企画がありまして。
各学部(8学部)の教員から1人ずつ選ばれて、その教員が何人かの生徒に向けて行っている授業をWEB上(Youtube)にアップするという企画です。
それに僕が選ばれまして、この度公開に至ったというわけです。
恥ずかしいですが、動画公開ページのリンクを貼っておきます。
http://www.daito.ac.jp/news/details_26744.html
あくまで広報の一環なので、内容は高校生向けの学部紹介に近いです。
授業内容は、アッシュの同調の実験紹介を行い、動画の中の生徒にミュラーリヤーの実験を実習させ、それを解説するという流れになっています。
色々と迷ったんですが、少し挑戦しているところがありまして。
この授業には2つの体験要素を入れ込んでいます。
1つ目は授業体験で、もう1つは実験体験です。
動画公開ページを見れば分かるのですが、ミュラーリヤー実験に関しては、動画のすぐ近くにあるリンクから実験資料をダウンロードできるようになっています。
それを印刷して組み立てることで、動画の中で行われている実験に自分も参加できる仕組みになっています。
普通の授業体験だけで終わりたくなったので、少しそうした仕掛けを入れてみました。
それにあたり、本当はもっと社会学、社会心理学の色が強い授業にしたかったのですが、やはり高校生が実験を体験することを考え、ミュラーリヤー実験にしました。
「もっと社会心理学の色を強くすればよかったかなぁー。でも、視覚的に分かりやすくて、体験して面白くて、印刷してすぐに自分も参加できる実験ってなかなかないからなぁ」と今でも思っています。
実験実習の後には、文化差の話などもしているので、社会心理学畑の人も楽しめるとは思いますが。
また、僕としては、授業内容に対して、特に動画編集の会社の方など大学関係者以外の方から様々なコメントをいただけたことは非常に有意義でした。
普段そうした機会はほとんどないため、それらのコメントは本当に得るものが多かったです。
これからの教員生活の糧の1つとしたいと思います。
2018年
11月
04日
日
そういえば、心理学の方法論の授業で、脳と心(社会性)に関する授業をやる予定があったので、自費で脳のモデルを購入しました。
1000円少しですごく精巧な脳モデルが手に入りました。
なんと32パーツにも分かれています。
やっぱり脳モデルの実物があると、正面からの画像とか各部位の立体的な場所なんかが示せるから教育素材としてとってもいいですね。
授業資料の質がぐんとあがりました。
少し気持ち悪いけど研究室にかざってます。
2018年
4月
01日
日
2018年4月1日付けで『大東文化大学 社会学部 社会学科』の講師として働くことになりました。
任期なしの職なので、腰を据えて、教育も研究もできそうです。
これからは自分の研究に加え、大東文化大学の教育と運営のために、全身全霊を傾けていきたいと思っています。
研究室は埼玉の東松山にあります。
近くまでお越しの際はぜひお立ちよりください。
また、東京に出るのも住まいから30分もあれば出れますので、東京に呼んでください!すぐにかけつけます!
今後ともよろしくお願いします。
p.s. それに伴ってHPの記載内容も色々変えました。他にも色々変えたいところが多いんだよなぁ。
2017年
6月
16日
金
どうも。またまたお久しぶりですね。
先日、「授業準備と運営~学習者の認知・心理的側面から~」という講演(https://ctl.high.hokudai.ac.jp/20170614/)に参加してきました。
まず、正直な感想からいうと、予想していた以上に面白い講演でした。
授業の仕方に関する講演に参加することはめずらしいので、その内容と感想を忘れないためにもブログに記載します。
この講演では、東北大学の邑本俊亮教授が、学習者が集中できる授業、学習者の理解を促す授業を行うための準備や運営をどのようにすればよいのかに関して、非常に詳細かつ具体的に説明してくださいました。
僕自身も大学1年生から予備校などで教鞭を取り、大学院生になった後も専門学校や大学で教えています。なんだかんだもう9年間ぐらいなんらかの形で教壇に立っています。
その中で、「どういう授業が分かりやすい授業か」ということを予備校で教わったり、自分で試行錯誤したり、他の人の授業を見て参考にしたりしてきました。
(余談ですが、その予備校は教師の教育に非常に力を入れている予備校で、ビデオ研修なるものがあって、持ち回りで毎日誰かの授業風景をビデオに撮って、みんなでよい点悪い点を批評し合うという会が開かれていました。僕も週に一度ぐらいは順番がまわってきていました。懐かしい)
邑本俊亮の講演では、「どういう授業が分かりやすい授業か」もしくは「どういう授業がよい授業か」ということに関して、僕が今までの経験の中で他人に教わったり自分で試行錯誤してきたことはもちろん、今まで僕が思いもよらなかったことなどが、心理学や認知の知見などを基に、きちんと整理して具体的に説明されていました。
よかった点は、講演の内容がちゃんと心理学や認知の知見などを基にされているところと、講演の内容に具体性があったところでした。例えば、メリハリのある授業がよいというだけでなく、どのような点や側面においてメリハリがあったほうがいいのか、具体的にどういう方法によってどういうメリハリをつけたらよいのか、そういうことを説明していただけました。そして、さらに、それがどういう効果を持つのかが心理学的に解明されていました。
そのため、実践の教育の場に生かしやすい内容の講演だったと思います。
まとめると、講演に参加したことで、まず、僕が今まで試行錯誤してきたり予備校などで教わったりして実践してきた、「どういう授業が分かりやすい授業か」に関する様々な点が明確化され整理されました。そして、さらに、それがどういう効果を持つのかが精緻化されました。なので、これまで授業で実践してきたことに関しても、改めてそれらを意識的に実践することができると思います。
また、今まで僕が思いもよらなかった新しい点も学ぶことができました。
講演で学んだことは今後の授業実施に必ず役立つと思います。参加してよかったです。
2016年
12月
14日
水
お久しぶりです。
なんか様々なブログネタのアイディアはあったんですが、忙しさにかまけてあまり筆が進みませんでした(筆ではなく今の時代はキーボードでしょうか)。
すいません。
さて。今回はめずらしく本の紹介をしようと思っています。
なぜなら、この本の紹介が僕の大学教育の一助となるかもしれないと思ったからです。つまり、僕の授業の受講者の理解度促進やゼミの後輩などの研究活動に、このブログの内容が少しでも役立てばいいなと思ったからです。
小林淳一・木村邦博 (1991) 考える社会学 ミネルヴァ書房
モデル・スペキュレーションの手法(理論モデルによって社会現象を読み解く手法)による社会学の入門書です。
著者の2人はどちらも社会学者で、数理社会学が専門のようですね。
この本、僕が大学2年生ぐらいのときに読んで、すごく感動した記憶があります。
当時から研究職になりたいと思っていた僕は、「将来、社会学系の授業を受け持つことがあったらこの本を教材にしたいなぁ」と思ったほどでした。
そして、そこから大学・大学院修士を卒業した約7年後ぐらいに、西野学園という専門学校で社会学の授業を受け持つことになったんです。
その時に、この本の存在を思い出して、読み返したんですね。
そうすると、面白い面白い。当時の僕が感動するわけです。
この本では、マイクロ-マクロ・アプローチ(社会現象が人の心や行動を作り、人の心や行動が社会現象を作るという相互的な影響過程から、社会現象や人の心や行動を考察するアプローチ)によって、社会現象を読み解く過程をものすごくクリアに説明しています。
マイクロ-マクロ・アプローチで社会現象をクリアに解明しているような初学者向けの本というのは、意外にも未だにあまりありません。
僕からすると、特に、第1部の『意図せざる結果』・第2部の『相互作用』辺りが面白いです。
少しだけ内容を紹介すると、第2部では、マイクロ-マクロ・アプローチからラベリング理論による逸脱行動の発現などを考察しています。
選択的にラベリングを貼られる(例えば、黒人は逸脱行動を取りそうだなぁとなんとなく思うといったもの)と、それが謂れのないものであったとしても、それに則したアイデンティティが生まれ、その選択的ラベリングに関する社会状態が自己成就する(黒人が実際に逸脱行動を取るようになる)という工程をマイクロ-マクロ・アプローチから説明しています。
まぁかくして、大学2年生の時の僕が思ったように、『社会学』の授業を始めとした僕の受け持つ授業では実際に少なからずこの本の内容が出てきます。
なので、僕の授業を取っている人や、マイクロ-マクロ・アプローチによる社会現象の解明に興味がある人はぜひ一読してみてください。
2016年
7月
03日
日
6月の末に博士号を取得しました。
博士課程に入ってからすでに6年経っている計算になります。
まじかよ!
というわけで、すごくすごく時間がかかりました。
長かった・・・。
博士論文を書くにあたって、僕自身、色々と考え、色々と摸索し、色々と挫折しました。
なので、博論を書く経験を経て、僕自身もだいぶステップアップ(成長)できたような気がします。
その証拠に、最近、何かの文章(学会原稿など)を書くときにも色々と考えることが分かった気がします。
そんな博士論文を書くにあたって、色々な人にお世話になりました。
とにかく、主査であり、自分の指導教官であった高橋伸幸先生にはすごくお世話になりました。
僕が博士号を取れたのは、すべて、高橋伸幸先生のおかげです。
1から100まですべてご迷惑をおかけした学生時代でした。
手厚い教育本当にありがとうございました。
もし博士論文がほしい人は言ってください。すごく長いですが、送ります。
本当は日本語の体裁とかまだまだなので、人に見せるのは恥ずかしいんですが。
2016年
5月
12日
木
まずは論文に関して。
僕の新しい論文の本文が5月10日にネット公開されました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/advpub/0/advpub_87.14080/_article/-char/ja/
この論文の概要は前のブログ記事にて記載しております。
最近はだいぶネット公開が早まっているんですね。驚きました。
そもそも心理学研究は少し前までウェブ公開すらしてなかったのになぁー。
というわけで、すでにネット公開されたので、僕のHPでも本文を公開させていただきました。
興味がある方はぜひ読んでみてください。
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えー。次の話題へ。
少し今更な感じもありますが、今年度も授業が始まりました。
例年、札幌大学で行われる僕の授業は40人程度なんですが、今年、いつも5限に行われていた僕の授業を3限にしたら、なんと140人も授業に履修してくれました。
これはなんともうれしい限り!でも、その半面色々大変です。
なぜなら、僕の授業ではある実験を実習体験する機会を設けたいからです。
実験の内容は社会的ジレンマです。
社会的ジレンマとは、個人にとって得になる行動が社会のためになる行動と一致しないことを指しており、集団場面において協力する状況の多くが社会的ジレンマを含んでいます。
よって、なんの対策もされてなければ、このジレンマのせいで、集団場面における相互協力状態が達成されるのは非常に難しいのです。
実際に、社会的ジレンマの実験をそのままやっても、ほとんど相互協力状態は達成されません。
しかし、一方で、実際の社会場面では、人間は様々な集団場面において協力しています。
例えば、実際の社会において違法駐車や不法投棄などの非協力行動は普段はあまり見ないですし、公共財のために税金を払うという協力行動を人々は日常的にとっています。
また、チームワークをさせれば人々はある程度協力するでしょう。
これらの背景には何かしらの対策や仕組みが隠れているために、協力状態が達成されているのです。
しかし、そのせいで、授業内において、『集団場面における相互協力状態は達成するのが非常に難しいよ』と口で説明しても、なかなか伝わらないんですね。
受講者がその説明を聞いても、「いやいや、集団場面でいつも協力してるよ!」とか「集団場面における相互協力状態なんかいつも達成されてるじゃん!」と、実体験からどうしても思ってしまう。
なので、社会的ジレンマの実験を実習体験させて、「集団場面における相互協力状態が達成されるのは非常に難しい」ということを体感的に学ばせるのは非常に重要なんです。
そのような方法による学習効果は、授業内容を充分に習得できるということだけに留まりません。
その実体験を元に習得する、集団場面における相互協力状態を達成させる方法は、大学生である彼らが将来、社会生活を営む上でも非常に役立ちます。
例えば、将来の職場において、彼らは、チームに所属して、チームとしての成績を出さないといけないような場面に直面するかもしれません。
そのような場面には直面しなかったとしても、少なくとも、社会に出て仕事をする上で、チームの中でうまくコミュニケーション取る能力は必須です。
また、彼らが管理職やチームリーダーになれば、部下やチームメンバーのやる気を出させて協力させなければならないという課題に直面するでしょう。
それらに何かしらの対策を講じ、問題を解決する能力の獲得は「集団場面における相互協力状態が達成されるのは非常に難しい」という根底的な知識とその理解がなければ、成し得ないことです。
それらの習得に対して、実験体験は非常に重要な役目を果たすことになるでしょう。
というわけで、僕のが受け持つ授業は「社会学」や「消費行動の心理学」という授業ですが、社会的ジレンマの実験を実習体験させることは非常に重要なことだと思っています。
なので、140人も受講者がいると大変だけど、がんばって実験体験の機会を設けたいと思います。
2016年
1月
28日
木
僕の新しい論文、『2つの集団で構成される社会で一般交換を維持させる利他行動の特徴』がようやく心理学研究に掲載内定しました。
これは博士論文の中核を成す部分を載せた論文ですね。
ここには、集団の内部に限定された一般交換(間接的互恵性)の成立が進化シミュレーションによって示されたということから、これまでの先行研究では指摘されていないような新しい利他行動の成立基盤として、集団を利用する方法があるのではないかということを主張した研究が記載されています。
なんだかこれまでの論文の研究とあまり変わらないじゃないかと感じる方もいらっしゃるかもしれないですが、この説明からも分かるように、今回の研究の最大の特徴は、利他行動研究の文脈に則しているという点です。
つまり、僕の研究からこれまでの利他行動研究に対して、どのような新しいことを提言することができるのか、そういった学術的な意義を重視した研究を行ったということです。
よって、先行研究の結果と僕の研究の結果を比較するために、これまでの利他行動研究で標準的に用いられている利他行動の行為者と受益者がランダムに選ばれるというランダムマッチングパラダイムを採用した進化シミュレーションを行っています。
というか、最近は、こうした利他行動からの文脈から話をすることばかりなので、『研究テーマ』の記載内容を変えたほうがいいですね・・・。
まぁ、まぁ!それはまた今度で(笑)
もし新しい論文に興味がある方がいらっしゃいましたら、僕のメールアドレス、もしくは、お問い合わせのページから連絡ください。掲載内定したばかりなので、論文そのものをお渡しすることはできませんが、論文の最終稿をお渡しいたします。
2015年
10月
30日
金
昨日、久しぶりに更新したら、
すんごい使いづらいなぁー。このブログ(笑)
どこかに変えようかしら・・・。
・上のブログタグをクリックしてみても、一定数の記事しか表示されず、昔の記事が見れない。見るためには右の月日をクリックしないといけない。
・しかし、その右の月日を作っているのも実は手作業で、自分で下位分類を作って分類しないといけない。非常にめんどくさい。
なんでこんな仕様に・・・。
2015年
10月
29日
木
「こんな研究やってみたいなぁ」とか「この研究おもしろいなぁー」とかそういった研究アイディアがたくさん(は言いすぎですかね。いくつか、です)僕の中には存在しています。
その中には、「なんで俺、この研究案を思いついたんだろう」とか「なんで俺、この研究を面白いと思ったんだろう」とかがよく分からない研究アイディアがいくつか存在しています。つまり、なんだかよく分からんが、興味があったり、思いついたりしているアイディアたちです。
それは集団内現象に関連する話だったり、利他行動に関連する話だったり、集団間闘争に関連する話だったりだったり、組織に関連する話だったり、はたまた日常の相互作用に関連する話だったりします。それらの間にはなんの関連性もなく、バラバラに見えるわけです。
今、博論を書いていて、一つの「利他行動の成立基盤」という遠大なテーマから派生して、長い長いストーリーを考えています。
その過程で、それらの1つ1つのアイディアが、実は1つのストーリーとして繋がっていくような感覚を感じるときがあるんです。
つまり、自分ではまったく意識していないんですが、自分で考えていくうちに、興味を持ったり思いついたりしていた、一見バラバラの数々のアイディアというのが、実は、1つの根源的な関連性があることが分かって、それらが繋がって、1つの大きなストーリーを構成することがあるんです。サーっと視界が開けるように、数々のアイディアが繋がっていくことがある。
そして、頭の中で1つの大きなストーリーができあがったあとに、やっと自分で気付いて、「自分では気づいていなかったが、実は一枚の絵として、俺の頭の中には昔から存在していたのだ!」と認識する瞬間があったりします。
そんな経験は実にエキサイティングですね。
2015年
3月
31日
火
大学生は分数の割り算ができないのか!? 実際に調べてみた - トゥギャッチ
http://togech.jp/2014/04/15/7411
結構前の記事なんですが、大学生に分数の割り算の問題を出すニュースです。大学生で一人だけできない人がいるんだーへー、そんな人いるんだー!・・・・ってうちの大学の生徒やないか!!!!
2014年
12月
31日
水
現在、年末年始ということで、地元の東京に帰省中です。
今年も色々な方にお世話になりました。来年もよろしくお願いします。
といっても、別に12月31日だからブログを書こうと思ったわけではなく、帰省中にちょっと暇があったから書こうと思ったら、それがたまたま31日だったというだけなんですが(笑)
毎年、アイディア出しから論文執筆まで、うちのゼミの学部生の卒論研究を手伝ったり指導したりしています。
今年の卒論研究のお手伝い・指導も先々週にやっと一段落つきました。
今年の卒論生は、実験とウェブ調査と数値計算シミュレーションと、研究手法がなんともバラエティに富んでいましたね。
他も大変でしたが、特に、実験実施は大変でした。
もちろん当人が一番大変なんでしょうけど、うちのゼミで実験をやるときは、毎回毎回本当に一丸となってやるので、非常に大変です。
マテリアル作りから実験実施まで、他の学部生だけでなく、僕ら院生や担当教官の先生も全面的に手伝い・指導しますから。
統計処理もみんな本当にがんばったと思います。
僕や担当教官の先生が言う、無責任な「ロジスティックやったらいいんじゃなーい」みたいな指摘(もちろんSPSSやSASのプラクティカルな使い方も教えますが)によく答えて、みんな根気強く統計処理できたと思います。
論文執筆も大変でしたね。
提出日の前日の夜なんか僕も先生も徹夜していました。
なぜほぼ毎年こうなってしまうのか不思議です。
そんな感じで毎年卒論研究のお手伝い・指導をがんばってしているわけですが、毎年思うのは「我以外皆我師」ということなんです。
これは「卒論を指導することによって自分の成長に繋がるよねー」という話ではなく(もちろんそれもありますが)、「本当にみんな僕の師になってくれる」という話です。
毎年毎年、卒論生は自分の研究それ自体に関しては、僕より詳しくなっていきます。
例えば、今年は信頼に関する実験研究をした人がいましたが、その卒論生は、少なくともその実験研究に関しては、僕より詳しいんです。
その研究のことを僕よりもずっと考えているし、僕よりも実験やその結果に関して詳しい。
なので、ゼミのときに、卒論生が「この結果は~~ということを示していると思います」とか発表してくれて、僕や先生が「おお、なるほどねー」となったりすることが当然のようによくあります。
よって、もちろん卒論執筆に関して、僕や先生が色々サゲストしたり、指導したり、注意したり、指針を決めたりはするわけですが、その卒論生はその研究それ自体に関しては、僕の師になったりするわけです。
ということで、本当の意味で、「我以外皆我師」になるわけです。
というわけで、今年の卒論生も色々と僕に教えてくれてありがとうございました。
2014年
9月
19日
金
すごく今更ですが、最近はタッチパッドの性能も上がり、タッチパッドが本当に日常的に使われるようになりました。
駅に行くとタッチパッドで切符を買い、(北海道にはないけど)タッチパッドの自動販売機があってびっくりします。
最近は市役所なんかの公的施設なんかでもタッチパッドでできていたりします。案内板とかで。
こういうパブリックスペースにおいて、タッチパッドが増えているのであれば、若者だけじゃなくて、高年齢層や低年齢層もタッチパッドを使うことが多くなってきてるんでしょうね。
ここまで社会で受け入れられているなら、そろそろ実験にもタッチパッドを導入してもよさそう。
さっきのことを考えれば、高年齢層や低年齢層を対象とした実験ももはやタッチパッドのほうがいいのかもしれない。
そのほうが感覚的に分かりやすく操作しやすい実験が組めるのかもしれませんね。
とかなんとか書いていて、他の研究室では、もうタッチパッドの実験が当たり前になっていたりするんでしょうか?(笑)
2014年
9月
09日
火
先週にようやく前期の授業が2つとも無事に終わりました。
今年は大学の授業も受け持たせていただけて、非常に勉強になりました。
やはり大学での授業は色々勉強になりますね。
消費行動の心理学ということで、経済学の基礎的なことも改めて学びなおして、授業に望みました。
この年齢で勉強しなおすと、昔勉強したとき以上に学ぶことが多くておもしろいですね。
経済学に与える社会心理学のインプリケーションとかを考えるためのいい機会になりました。
授業の話に戻ると、僕の非常勤先の大学には他にも社会心理学や心理学の授業があるので、それらとの折り合いやそこから生じる受講者の知識量の差を考えることは専門学校の授業にはない経験でした。
「他の授業でこれをやってるから~」とか「他の授業ではこういう視点でやってるから~」とか「何割ぐらい他の授業を受けたんだろう。他の授業を受けた受講者たちは比較的知識を持っているだろうけど、受けてない人たちは社会心理学の知識をそんなに持ってないだろうなぁ。」とか色々考える必要があり、それが非常に勉強になりました。おもしろかったです。
そのかいあってか、アンケートでもいいことが色々書いてあってうれしかったです。
「すごくおもしろかったです」とか「また小野田さんの授業が取りたい」とか「後期はやらないんですか?」とかは単純にうれしいですね。
どちらの授業でも、ほとんどの生徒が楽しかった、勉強になった、満足した、と答えてくれていて、本当によかったです。
自己満足ですが(笑)
2014年
8月
23日
土
【乞食速報】スタバで他人にコーヒーをおごる行為がブーム 「ペイイットフォワード」 2日間で750人
http://alfalfalfa.com/archives/7475478.html
まさにpay-it-forward型の間接的互恵性が成立している状況。でも、怒っている人もいるらしい。『地元に住むブロガーのピーター・ショーシュさんは、「お客は店員から、前の客がコーヒー代を払ってくれたと告げられ、次の人の分を払う気はあるかと聞かれる。こんなものは気前のいい行為ではない。罪だ」』だそうだ。
2014年
8月
02日
土
今年の社会心理学会はなんとうちの研究室で行われました。
7月26,27日のことですね。
参加してくださった人、ありがとうございました。
みなさまのおかげで、盛況のうちに終わりました。
よかったです。
僕は大会期間中は忙しくてあまりみなさんとお話できなかったのが残念でした。
(中には夜に飲めた人もいましたが。)
次の大会などで顔を合わせた際には、ぜひよろしくお願いします。
僕は、前日~当日はホストとしての大会準備・当日業務で大変でした。
主に会場係をしていました。会場係の学部生(タイムキーパーをしてくれる人や質疑応答の際にマイクを持って走ってくれる人)に指示を出したり、会場業務の統括や何かあったときの対応などですね。
確かに、何かあったときに僕が走ったり、僕が調整役したりしたり、重要な仕事は僕がやったこともありましたが、
学部生の皆が優秀で、自分の仕事がないときなどには、仕事ありますか?などと自分から声をかけてくれたり、自発的に自ら動いてくれたりして、本当に助かりました。
ありがとう!
また、うちの研究室の先生方がものすごくがんばって大会準備をしてくださいました。
そのおかげで、当初に想定していたよりは、僕ら院生の大会準備の負担が少なかったように思えました。
先生方は文字通り寝る間も惜しんで、大会期間までに発生する準備を含めて、大会準備のほとんどを行ってくれました。
本当にありがとうございました。