お久しぶりです。
なんか様々なブログネタのアイディアはあったんですが、忙しさにかまけてあまり筆が進みませんでした(筆ではなく今の時代はキーボードでしょうか)。
すいません。
さて。今回はめずらしく本の紹介をしようと思っています。
なぜなら、この本の紹介が僕の大学教育の一助となるかもしれないと思ったからです。つまり、僕の授業の受講者の理解度促進やゼミの後輩などの研究活動に、このブログの内容が少しでも役立てばいいなと思ったからです。
小林淳一・木村邦博 (1991) 考える社会学 ミネルヴァ書房
モデル・スペキュレーションの手法(理論モデルによって社会現象を読み解く手法)による社会学の入門書です。
著者の2人はどちらも社会学者で、数理社会学が専門のようですね。
この本、僕が大学2年生ぐらいのときに読んで、すごく感動した記憶があります。
当時から研究職になりたいと思っていた僕は、「将来、社会学系の授業を受け持つことがあったらこの本を教材にしたいなぁ」と思ったほどでした。
そして、そこから大学・大学院修士を卒業した約7年後ぐらいに、西野学園という専門学校で社会学の授業を受け持つことになったんです。
その時に、この本の存在を思い出して、読み返したんですね。
そうすると、面白い面白い。当時の僕が感動するわけです。
この本では、マイクロ-マクロ・アプローチ(社会現象が人の心や行動を作り、人の心や行動が社会現象を作るという相互的な影響過程から、社会現象や人の心や行動を考察するアプローチ)によって、社会現象を読み解く過程をものすごくクリアに説明しています。
マイクロ-マクロ・アプローチで社会現象をクリアに解明しているような初学者向けの本というのは、意外にも未だにあまりありません。
僕からすると、特に、第1部の『意図せざる結果』・第2部の『相互作用』辺りが面白いです。
少しだけ内容を紹介すると、第2部では、マイクロ-マクロ・アプローチからラベリング理論による逸脱行動の発現などを考察しています。
選択的にラベリングを貼られる(例えば、黒人は逸脱行動を取りそうだなぁとなんとなく思うといったもの)と、それが謂れのないものであったとしても、それに則したアイデンティティが生まれ、その選択的ラベリングに関する社会状態が自己成就する(黒人が実際に逸脱行動を取るようになる)という工程をマイクロ-マクロ・アプローチから説明しています。
まぁかくして、大学2年生の時の僕が思ったように、『社会学』の授業を始めとした僕の受け持つ授業では実際に少なからずこの本の内容が出てきます。
なので、僕の授業を取っている人や、マイクロ-マクロ・アプローチによる社会現象の解明に興味がある人はぜひ一読してみてください。